研究概要 |
本年度は,本研究の第1テーマである「日本企業における資金調達と資本投資支出との関係に関する実証分析」に取り組んだ。研究手順に従って研究実績の概要を記述する。 1)理論モデル・実証モデルの整理と構築 資金制約と資本支出との関係に関しては,従来,アメリカを中心に研究が行われ,2つの仮説が有力な仮説として提出されている。本研究では,このうちキャッシュフロー仮説に焦点を当て,実証分析のための基本モデルを構築した。 2)資金制約状況の実証分析 データベースからサンプルを抽出し,業種別に基本モデルの実証を行った。この分析から,アメリカ企業については当てはまるキャッシュフロー仮説が,日本企業については当てはまらないことを見いだした。現在,キャッシュフロー概念を修正して,日本企業が資本投資出に当たって考慮していると考えられるキャッシュフローを検証しているところである。 3)資金調達パターンの実証分析 「資金制約と資本投資支出との関係」に加えて,棚卸資産などの運転資本への投資支出,売上債権および仕入債務,現金等価物への投資と資本投資支出との関係を統合した理論モデル・実証モデルを構築したが,まだ実証には至っていない。
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