研究概要 |
本研究では、特に応用の遅れている経営データに対して、データマイニング技術の適用にともない生じる基礎的問題を解決するための新しい方法論を提示する。また,その方法を実装し,利用可能な数社の実データに対する適用実験をおこない,提案する方法の有効性を明らかにする。本研究では、大きく2つのテーマについて研究を行った。第1に、2次元カテゴリー属性に対する相関ルール生成アルゴリズムに関する研究である。第2に、データマイニングツールを使ったロイヤルカスタマーの早期発見に関する研究である。 相関ルールを用いた経営データ分析への適用は、特にマーケティングの分野において、その応用の可能性が指摘されている。相関ルールの生成はデータマイニングの基本的技術として研究が進んでいるが、その多くは数値属性もしくは二値属性を対象にしたものがほとんどである。しかし、今回実験で取り組む購入関連性を用いた分析のように、商品コード、住所コードのような定義域サイズが大規模なカテゴリー属性を対象にした相関ルール生成は、ほとんど考察されていない。本研究では、カテゴリー属性を対象とした最適二次元相関ルールを定式化し、半正定値計画法にもとづく近似アルゴリズムを提案し、販売データへの適用を通して、その有用性を検証した。 また、我々は、ロイヤルカスタマーの早期発見問題にも取り組んだ。従来、新規来店から約5〜6ヶ月経過しないと、その顧客が優良顧客として定着するかどうかが判断できなかった。しかも数万人の新規顧客の販売データから、そうした顧客の特徴を抽出することは、技術的にも非常に難しい。本研究では、最新のデータマイニング技術を利用し、継続的に店舗の利益に貢献してくれる優良顧客(ロイヤルカスタマー)を、より早い段階(新規来店から3ヶ月もしくは2ヶ月)で、そしてより高い確率で予測することを可能にした。
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