研究概要 |
1,環境会計のフレームワークについて、文献レビューにもとづいて研究し、内部環境会計と外部環境会計の統合が重要であることを明らかにした。ただし、この両者は目的を異にするので、それぞれの特徴を損なわない形で統合されねばならない。 2,環境コストの測定と利用方法について企業実務を調査し、測定技術面で多様性が大きいことが判明した。さらに、企業内部で環境会計システムを構築している事例はまれで、多くの場合は手計算での集計であることも分かった。 3,環境コストの企業内部での利用可能性を検討した結果、環境コスト情報に加えて、環境負荷情報および環境負荷の低減に対する市場の支払意思額に関する情報が必要なことが明らかとなった。しかし、企業における環境コスト情報の利用はまだ十分には進んでいなかった。なお、市場の支払意思額を測定するためには、コンジョイント分析法が有効であることが分かった。 4,環境会計情報を企業内部で利用するためには、その情報を企業外部へ公表し、ステイクホルダーの支持を受けることが不可欠であることも明らかにされた。そのための手段としては、環境ラベルや環境報告書が有効で、環境会計と密接に連携すべきことも分かった。
|