わが国の企業会計と税法は、戦後、確定決算主義を通じて密接不可分な関係を維持してきた。しかし、近年、企業会計では国際的調和化に伴う会計基準の改訂が進む一方、税法でも課税対象の拡大等の目的で税法固有の規定を設定する傾向にあり、確定決算主義そのものの見直しを再検討する必要性が生じてきた。このような企業会計と税法との乖離に伴い、今後、最も問題となるのは、わが国における企業結合会計の導入にあると思われる。本年は、この点に着目し、企業結合会計導入に伴う確定決算主義の意義を中心に研究を進めた。その結果、企業会針においては、米国のFASB等の国際的動向を勘案して、企業結合時(企業の合併・買収時)の持分プーリング法の評価法は放棄され、バーチェス法(買収法)への一本化を図る基準設定が進むとの結論を出した。一方で、税法では、中立性の観点から、税制が企業結合の阻害要因にならないために不課税措置を残す必要がある。その具体的な措置としては、組織再編成(リオーガニゼーション)の規定により、取得企業が被取得企業の資産等を帳簿価額により引き継ぐことにより、その課税を将来の売却時期まで引き延ばす課税の繰延措置が最も有用であると思われる。このような企業会計と税法の規定を想定した場合、企業会計では時価を基礎とした評価法が適用される一方で、税法では原価を基礎とした評価法を踏襲することになり、双方を確定決算主義により結びつけるには限界がある。その結果、今後のわが国の企業会計と税法との関係は、企業会計の国際的調和化と税法の中立性を高めるべく、アメリカのような企業会計と税法とを別個に設定している国の体系を参考し、両者を機能的に分離する方式への転換が必要になるとの結論を導いた。
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