米国市場において、会計利益による企業評価モデル(Ohlsonモデル)が、投資家の意思決定に際して極めて有用なツールである事が実証研究によって明らかにされつつあります。 本研究では、我が国の株式市場における会計利益による企業評価モデル(Ohlsonモデル)の有用性を検証するとともに、外国市場における当該モデルの有用性との比較により、我が国の会計システムの投資意思決定における有用性を明らかすることを主たる目的としております。具体的には、株価および株式の投資収益率が企業評価モデルによってどの程度説明され得るのか、また、企業評価モデルによって株価および株式の投資収益率をどの程度予測し得るのかを、2年間の研究期間にわたって実証していく計画であります。 今年度は下記について研究を行いました。 1.データベースの構築 PACAPデータベース(日本版)(Rhode Island大学発行)を導入した。当データベースは、我が国で一般的に入手できる日経等の類似データベースに欠落している株価データおよび株価収益率データを保有しており、本研究に必須のデータベースである。PACAP以外のデータソースからの情報とPACAPをマージし、次項の実証研究に必要なデータベースを構築した。 2.単体ベースによる実証・ワーキング・ペーパーの作成 会計情報と株価・株価利益率の関連について単体ベースの実証研究を行い、ワーキング・ペーパーを作成した。次年度は連結ベースの研究への拡張を行う予定である。
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