研究概要 |
(1)標数pにおけるHermite型Fermat超曲面の中間次元の代数的サイクルの数値的同値類のなす格子の構造を調べ,そのdiscriminantがpの冪であることを証明し,また有理数体上の生成元をこの超曲面に含まれる線形部分空間を用いて具体的に記述した.特に標数2における3次のFermat超曲面の場合にこの格子のコード理論による記述を与えた.超曲面の次元が2の場合にはこの格子はE_6型ルート格子となるので,次元を高くしたときに得られる格子はE_6型ルート格子の一般化とみることができる.4次元の場合にこの格子はランク22のlaminated latticeと同型になることを示し,Conway群・222と標数2の有限体上の6次のユニタリー群との間の同型に幾何学的説明を与えることに成功した.さらに6次元の場合にminimal normとkissing numberを計算し,一般次元の場合の予想をたてた.もしこの予想が正しければ,Miskowski-Hlawkaの限界を超える密度をもつ格子の無限系列が得られると期待される.またkissing numberはFermat超曲面上の線形部分空間のコンフィギュレイションから簡単に計算されるであろうと思われる. (2)格子理論を用いて計算機を使うことにより,複素楕円K3曲面の特異ファイバーのタイプとMordell-Weil群のねじれ部分群をすべて列挙した.この方法は特定された特異点をもつ6次曲線で分岐する2重被覆として得られるK3曲面,および特定された特異点をもつ4次曲面として得られるK3曲面のモヂュライの既約成分を決定するという問題にも適用することができる.これにより古典的なZariski pairの別な例を数多く構成できると期待される.現在そのためのプログラムを書いているところである.
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