研究概要 |
Xが3次元一般型非特異射影多様体でLを豊富な因子とする。このとき(X,L)を偏極多様体と呼ぶ。このときXが一般型でdimH^0(L)【greater than or equal】3の場合についてK_XL^2の下限をXの不正則数q(X)を用いて下から評価することを今年度の目標にした。(ただしK_XはXの標準因子)一つのステップとして次の結果を得た:dimBs|L|【less than or equal】0の時K_XL^2【greater than or equal】q(X)-1が成立する。またdimBs|L|=1の時については部分的にK_XL^2【greater than or equal】q(X)-1が成立することがいえたが、まだ完全にはいえていない。このことについては継続して研究中である。また、いままでの研究の主流であった偏極多様体(X,L)の断面種数g(L)と不正則数q(X)との間の関係についても調べた。その結果dimBs|L|【less than or equal】0のときについてg(L)-q(X)=mでh^0(L)【greater than or equal】m+n-1の場合について(X,L)の分類に成功した。(だたしn=dimX)1985年くらいからLanteri,Turriniらを中心にして研究されてきたXのdual varietyの次数についての研究において、特にXが3次元のときにg(L)-q(X)の値はXのdual varietyの次数との間に密接な関係があることが知られている。そこで私が今まで得た結果を用いて、Xの次数とXのdual varietyの次数との間の関係について調べた。この研究においても上記の本年度の研究課題であったK_XL^2の下限が非常に役立つことも特に記しておく。
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