研究概要 |
今年度は非アルキメデス的幾何学からのアプローチを中心に据えて,この幾何学の枠組みでの代数曲線の構造,特にこれらやヤコビ多様体の構造を詳細に理解する上でのキーポイントとなる非アルキメデス的一意化や,これに関連した非アルキメデス的な微分方程式を研究するための土台となる非アルキメデス的軌道体について撤底的に研究を行った.これは対象となる代数曲線の自己同型群や,一意化から生じるモノドロミー等の豊かな構造の把握といった形で結実した.具体的には,正標数の一意化可能曲線の自己同型を保つ変形理論の代数的及び解析的構成,また,種数6の曲線のモジュライの中の興味深い一次元ストラータの非アルキメデス的軌道体からの理解,及び対応する階数2の微分方程式のモノドロミー群の決定等である.これらの研究の内,幾つかは別紙に明記した様に,既に雑誌掲載が決定されている.また,これと関連して最近発展しているp-進タイヒミュラ-理論やp-進微分方程式の理論について,研究交流を図るため,研究集会の開催等を通じて交流を強化し,近い将来の研究の土台ともなるべく,多くの知見を得ることが出来た.対数的幾何学との関連においては,特に最近多くの専門家によって研究されている,p-進コホモロジーとの関係において,特に多くの研究交流を図り,本研究に関する知見を得る事が出来た.これらは今後出版の予定であり,また,今後の研究の方向性を与える事ともなった.
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