研究概要 |
平成11年度の研究実績として次の3点が主なものとして挙げられる。 (1)SL(2,C)及びSL(3,C)に関する様々な結果について、9月にイギリスウォーリック大学で行われた研究集会に参加し、自分自身の研究成果の発表と商特異点のみならず作用素環論や物理での最近の結果を知ることができた。特にイギリスエジンバラ大学のBridgeland氏の結果は3次元McKay対応に関する新しい見方によるもので、氏との議論は有意義であった。 (2)SL(3,C)の有限非可換部分群による商特異点のクレパントな特異点解消の構成について、関連することを研究している物理学者と交流し、互いに数学、物理学で知られている結果を情報交換した。これにより、物理では認められている結果の中に数学では未解決な問題を発見することができ、私自身の研究の方向性をはっきりさせるのに役立った。 (3)ヒルベルトスキームを用いた商特異点の解消とMcKay対応についての集中セミナーを行った。1月末に北海道大学の木藤理恵氏、京都大学の中島啓氏、石井亮氏を東京都立大学に招へいし、SL(2,C)よりも一般的なGL(2,C)の有限部分群による商特異点に対する、SL(2,C)やSL(3,C)のときと同様な、ヒルベルトスキームを用いた極小特異点解消の構成やMcKay対応の可能性について議論した。また同時に公開セミナーも行い、多くの人から特異点に関する情報を得ることもできた。
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