近年超弦理論(物理)で弦の双対性という考え方が主流になっている。ここに登場するDブレーンという対象は数学の連接層の言葉で説明できるようである。実際3次元のカラビ・ヤウ特異点の解消をヒルベルト・スキームを用いて構成した。Ito-Nakajimaの論文の結果の1つである。3次元のMcKay対応も物理ではT双対性と見なせるようだ。そこでその2つの概念を関連づけて物理の方で知られている事実を数学の言葉に翻訳することによって。数学で説明できていなかった。3次元McKay対応の幾何学的な図式を用いた証明も考えられるようになった。本年度の研究ではその関連について調べ、京大数理研での研究集会で講演し、そのまとめを数理研の講究録に書いた。また商特異点に関する数学的な研究として1月のドイツ訪問によりグレブナー基底という今まで扱わなかった理論との接点を見つけた。これによりヒルベルト・スキームを用いた特異点解消が完全に組み合わせ論的な計算として。コンピュータで求めることが可能になりそうであり。更に分類論への応用も考えている。
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