研究概要 |
本年度の最大の実績はDeligne,伊原らによる射影直線引く3点の基本群へのガロア作用に関する予想を肯定的に解決したことである。有理数体の絶対ガロア群をprofinite基本群に作用させることでガロア群にcentral filtrationを入れることができる。Deligneの予想(伊原による定式化)は、そのgraded quotientsが作るLie環がSoule元と呼ばれる元で生成されるというものである。 研究代表者は米国Duke大学R.Hain教授との共同研究で、相対Malcev完備化の手法をガロア群に用いることでこの予想を解決した。この研究は代表者とHain教授のイタリア滞在中に進展し、代表者がアメリカMSRI研究所滞在中に口頭発表して大きな反響を受けた。なお、このLie環が自由であるかどうかは未解決である。 また、A_n型特異点の変形空間上での普遍モノドロミーを射影直線引く三点上の普遍モノドロミーで記述することができるというDrinfeld-河野の結果を、tangential morphismという境界の無限小変形により得られる代数的射を用いて堀野氏との共同研究で別証した。E_7型特異点でも同様のことが可能であると思われ、今後の課題である。
|