研究概要 |
H^3を定曲率-1の3次元双曲空間形とする。H^3を上半空間モデルで考えると、そこへの曲面Mのはめ込みに対して、Gauss写像Gを(Euclid空間E^3内の場合と同様に)定義できる。すなわち、GはMから単位2次元球面S^2への写像であり、normal Gauss写像と呼ばれる。E^3内の曲面と同様に、H^3内の曲面は平均曲率Hとこのnormal Gauss写像によって局所的には(Kenmotsu型表現公式に則って)決まってしまう。H^3内の平均曲率H一定(CMC-H)曲面について考えるとき、そのnormal Gauss写像Gは、E^3内のCMC曲面のGauss写像のようなS^2の標準計量に対する調和写像にはなっていない。しかし、S^2のある特殊な計量h_Hについては調和写像となっている。特に|H|<1の場合は、h_Hはある円周状に特異点を持っており、その内部ではh_Hは負曲率である。 この計量h_Hを自然に拡張して、n次元単位開球D^n上に考えておく。すなわち、(D^n,g)は負曲率で、完備ではないが境界に近づくにつれて曲率は-∞に発散していて大変興味深い。そこで、m次元双曲空間形H^m(のPoincareモデル)から(D^n,g)への調和写像に対する無限円でのDirichlet問題を考え、解の一意性・存在及びreguralityを調べた。 また、これらの結果を応用して、3次元双曲空間形内の完備で平均曲率一定H(|H|<1)の単連結曲面を、上記のDirichlet問題の解として得られる調和写像がそのnormal Gauss写像となるように構成できることを示した。
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