研究概要 |
平成11年度はホモトピーファイバーの組み合わせ的構成に関し2つの成果を上げることができた。1つはJames constructionに関連する成果であり、もう1つは空間多角形のなすモジュライに関する成果である。以下ではその概略を説明する。 1.J_l(S^2)をΩS^3のJames constructionのl-stageとし、J_l(S^2)→ΩS^3をinclusionとする。このhomotopy fiberをW_lであらわす。従って次のようなfibrationの列が得られる:Ω^2S^3→W_l→J_l(S^2)→ΩS^3.Ω^2S^3については、報告者およびそれとは独立にF.Cohen-R.Cohen-Mann-Milgramにより、組み合わせ的構成が存在することが以前から知られていた。平成11年度はこの結果を一般化することに成功した。つまりモニックなk次多項式の組(p(z),q(z))で、p(z)とq(z)がたかだかl個の共通根を持つものの全体がW_lを近似するのである。特にl=0とおけばΩ^2S^3の構成が得られる。その意味でこの結果は従来のホモトピーファイバーの諸結果を統一するものである。 2.M_nで空間多角形のモジュライをあらわす。M_nには標準的な複素構造が存在するのだが、その他にどのくらい複素構造が存在するかは懸案の問題であった。平成11年度はこの問題に対し完全な解答を与えることに成功した。Θ_nでM_nのtangentbundleのholomorphic sectionsの芽の層を表わす。すると、H^q(M_n;。Θ_n)=0(q【greater than or equal】0)という明快な結果を得た。特に上の問題に対しては、「M_nの複素構造は変形できない」という最終的な解答を得た。
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