研究概要 |
概Kahler構造の積分可能性に関するGoldbergの予想、すなわち「コンパクトな概Kahler Einstein多様体はKahler多様体である)に対して、特に、4次元の概Kahler Einsteinかつ*-Einstein多様体が積分可能であることや、4次元のコンパクトな概Kahler Einsteinかつ*-Einstein多様体において、その*-スカラー曲率のスカラー曲率によるピンチングがすでに得られていた。 今年度の研究の目的は、これら結果の更なる改良にあった。具体的には、4次元のコンパクトなKahler Einstein多様体において、その曲率作用素が自己相対および反自己相対な微分形式からなるベクトル束を保存するという性質を手がかりに、それが*-Einstein多様体になるであろうという方向で調べてみる計画であった。 これに対して、次の結果を得ることができた。「M=(M,J,g)を4次元のKahlerでない概Kahler弱*-Einstein多様体とする。このとき、MはRicci平坦で、かつ点毎定正則断面曲率γ^*/8をもつ。従って、Mは自己相対的である」というものである。ただし、γ^*はMのRicci*スカラー曲率を表す。この結果から「4次元のコンパクト概Kahler Einsteinかつ弱*-Einstein多様体は、Kahler多様体になる」ことがわかる。したがって、既に得られていた結果を改良することに成功したことになる。 4次元のGoldberg予想の完全な解決には至らなかったが、本研究において得られた多く公式は、今後の更なる研究においても、有用であると思われるものが多く、引き続き、今回の研究方針に基づいて研究を進めて行くことは、有効であろうと考えられる。
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