研究概要 |
本研究では,昨年度の研究に引き続き,Seifert多様体を生成するDehn手術について, (1)結び目にはどのような制限がつくか? (2)Dehn手術にはどのような制限がつくか(手術係数は整数に限るか)? (3)Seifert多様体が得られる際にそのSeifert多様体にはどのような制限がつくか(射影平面が基底空間になりうるか,例外ファイバーは3本以下か,またそれらのindexはどのような値をとりうるか)? という問題について研究を進めてきた。昨年度までは巡回周期性をもつ結び目のみを対象にしていたが,本年度の研究では自由周期性や強可逆性という対称性をもつ結び目についても研究を進め,結び目の対称群とSeifert多様体を生成するDehn手術について以下の結果を得た。 (i)対称群の位数が2より大きい双曲結び目のDehn手術でlarge Seifert多様体は生じない。 (ii)強可逆性以外の対称性をもつ双曲結び目のDehn手術で射影平面上のSeifert多様体は得られない。 これらの結果は上記問題(1),(3)に対する部分解を与えており,国際的な専門誌に投稿中である。またDehn手術でSeifert多様体が生じるメカニズムを解明するためにprimitive/Seifert-fibered constructionについても現在研究中である。これまでの研究は対称性の高い結び目がSeifert多様体を生み出すDehn手術を許容しないことを示しているが,一方primitive/Seifert-fibered constructionは,Seifert多様体を生み出すDehn手術を許容するためには,結び目に強可逆性といった対称性が必要であることを示唆している。このことから,本研究がprimitive/Seifert-fibered constructionの限界を調べる上で有効であると期待される。今後この方面の研究を積極的に進めていきたい。
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