本研究の目的は、集合値最適化問題における解の評価基準をゲーム理論的な立場から分類し、それぞれの基準に対する体系的、統一的な理論の構築、および最適解へのアプローチ方法を確立することが目的である。本年度においては、以下のことを行った。 【ゲーム理論的な評価基準の確立】 特に、協力ゲーム、非協力ゲームそれぞれの立場から生じる評価基準での集合値最適化問題を導入し、その意義について論じた。また、従来の概念を改良、拡張する新しい評価基準を導入した。 【集合値解析学的な基礎理論の確立】 上記で定義された評価基準から生じた種々の概念(凸性、下半連続性)についての基礎的な理論を構築した。 【集合値最適化問題に対する基礎理論の確立】 導入した評価基準に対する集合値最適化問題を定義し、最適解の存在性、最適性の条件、およびいくつかの双対性に関する定理を証明した。 【集合値最適化問題の応用】 特にベクトル値ミニマックス問題に適用し、鞍点概念の再考察、再評価を行った。 【研究会等における発表を通じた意見交換】 本年度の研究成果は、国際会議ICMAA2000(International Conference on Mathematical Analysis and its Applications)をはじめ、いくつかの会議、研究集会等で発表し、本研究に対する意見を求め、関連分野の研究者との交流を図ることができた。
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