無限次元力学系分岐解析ソフトウェアの開発に関して以下の研究を行った。 ● ソフトウェア開発環境の選定 効率良くソフトウェアを開発する為、既存のパッケージを使うことにした。行列計算を効率良く行うことができ、対話的な操作を可能とするプログラミングにも対応した。MATLABを開発環境として選定した。MATLABはマルチプロセッサ環境には対応しておらず、最終的な開発環境としては問題があるが、ソフトウェアの開発における初期段階(アルゴリズムの性能評価)では効率良く開発ができると期待できる。第一段階としてAUTOが用いている定常解追跡アルゴリズムをMATLAB上に実現した。 ● 既存分岐解析ソフトウェアの問題点の洗い出し 既存の分岐解析ソフトウェアAUTOを用いて、具体的にGray Scottモデルの分岐解析を行った。その結果、拡散係数が小さい場合にAUTOでは期待通りの解追跡ができないことが判明した。アダプティブにメッシュを切るといった手法が必要と思われ、来年度の研究課題となった。 ● 反応拡散系における大域的分岐構造を調べることの有用性 具体的な問題としてGray Scottモデルの大域的な定常解構造を調べたが、それにより時空カオスの出自に関する情報も定常解の解構造を知ることである程度理解ができることが判明した。
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