1.すべての多成分AKP系列に対して、2-toroidal Lie代数の対称性から誘導される非線形可積分発展方程式系は、一般化したゲージ場の方程式としてとらえる限りにおいては、本質的に自己双対Yang-Mills方程式の系列に限られることを示した。さらに、ソリトン理論の直接法に基づいて、双線形形式から自己双対Yang-Mills方程式及びそのBacklund変換から成るヒエラルキーを構成する手法を与えた。一方、ゲージ場の方程式ではなく、より一般的にソリトン方程式としてとらえる場合には、各多成分AKP系列から様々な新しい可積分方程式を構成できることがわかった。 2.SU(2)自己双対Yang-Mills方程式が過対称行列式解をもつことと、過対称行列式と過対称Pfaffianの間に成立する恒等式とを用いて、SU(2)自己双対Yang-Mills方程式のPfaffian型への拡張を行った。これは、B型、D型とは異なるPfaffian化、多成分化に対応しており、行列式とPfaffianの成分に対する条件式の同等性から、toroidal Lie代数に類似の対称性によって支配される方程式系になっていると予想される。 3.差分幾何学の対象であるquadrilateral格子の解が、自己双対Yang-Mills方程式や多成分KP系列の解と類似の構造をもつことに着目し、quadrilateral格子の双線形形式を導出するとともに、fermionの真空期待値による理論的定式化を与えた。 4.Glasgow大学のNimmo助教授らとの議論に重点を置くため、設備備品費を外国旅費等に振替えた。
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