研究概要 |
1.非圧縮性Navier-Stokes方程式を無限次元空間における不動点問題に定式化し、さらに無限次元関数空間を有限次元近似空間とその誤差空間の直積空間で表現することにより,解の存在検証条件を計算機内の有限操作の問題に帰着させた。 2.数値近似解を得るためのアルゴリズムを有限要素法およびスペクトル法を疑似Newton法と組み合わせた離散化手法により与え,数値実験により高レイノルズ数および分岐解に対しても有効な近似解法であることを確認した。また,特異性を持つ領域に対する要素再分割法,領域分割法との親和性などを理論面・実用面から考察した。 3.2.で得られた離散近似解とその線形化問題の定量的誤差評価を用いることにより,1.で導いた存在検証条件を満足する無限次元の集合を計算機内で自動的に構成するためのアルゴリズムを与えた。 4.浮動小数点演算により生じる丸め誤差を考慮した厳密な数値的評価を可能とするためのビット操作機能,演算子再定義機能,および丸めモード変更機能を基礎とする区間演算モジュールとして公開されているINTLIB90およびPROFILを用い,精度保証付き数値計算において汎用的に用いられる基本的線形計算である行列積・連立1次方程式の解法・一般化固有値問題などを組み込み手続き化し,ライブラリに実装した。 5.以上より,2次元Navier-Stokes方程式の定常問題に対し,有限要素要素近似解のまわりでの厳密解の存在検証に成功し,その原理的有効性を明らかにした。
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