研究概要 |
我々は,クラスター化法及びクラスター化の結果を評価する1つの基準として「空間のゆがみ」に着目した指標を宿久,竹内,稲田(1998),Yadohisa,Takeuchi and Inada(1999)で提案している.本年度は,これらの結果を非対称な類似度データに適用可能となるように拡張することを目標に研究を行った. 非対称データのためのクラスター化法(以下,非対称クラスター化法と呼ぶ)の研究は行われていないわけではないが,対称データ解析用のそれ(以下,対称クラスター化法と呼ぶ)と比べると十分ではなく,系統だった結果は得られていない.我々は,上述の目標のためには,対称クラスター化法おけるLance and Williams(1967)の更新式に対応する,非対称クラスター化法を統一的に扱うための更新式の提案が必要であると考えその定式化に取り組んだ.これに対しては,一応の結果が得られたが,未だ公刊するには至っていないので,来年度中には公刊したいと考えている. 加えて,本年度はクラスター化の結果を評価するための新たな指標として"構造度(Structured Ratio)"を提案した.構造度とは,クラスターを形成している対象の散らばり具合を基準にした分類の良さを表す概念であり,Rubin(1967)によって提案されたwell-structuredの概念をより一般的に拡張したものである.また,構造度に基づくクラスター化法の許容性及び新たな凝縮型階層分類法についても提案した.これらの結果は,[1]A.Takeuchi,H.Yadohisa and K.Inada(1999):Admissibilities of aggolomerative hierarchical clustering algorithms with respect to space distortion and monotonicity, Bulletin of the International Statistical Institute,52nd Session Contributed Papers,3,477-478. [2]竹内,宿久,稲田(1999):凝縮型階層分類法による分類結果の構造について,日本行動計量学会第27回大会発表論文抄録集,305-308.として公表している.
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