研究概要 |
本年度は,離散的な凸解析の理論を構築するために以下の研究を行った. 1.凸解析における主たる結果の調査を踏まえ,離散的な凸性としての付値マトロイドの有する性質を調べた.その結果により,「どのような性質が離散凸性として相応しいか?」,という疑問に対する自分の考えを深めることができた.さらに,付値マトロイドの概念をより一般的なものへと拡張することにより,離散的な凸性と普通の凸性の違いを明らかにしようという試みを実施中である.上記の研究結果の一部については論文にまとめられ,投稿中である. 2.ネットワーク問題に対する解法が,より一般的な問題に対して一般化出来るか否かを調べた.その中で,「最小比閉路消去法」が,線形計画問題や混合整数計画問題という,より一般的な問題に対しても一般化出来ることが分かった.研究結果は2000年1月の国際会議にて発表された. 3.国内外の学会,研究会に参加し,他の研究者の活動を調査した.これにより,本研究の目的の達成に有用なアイディアを多く得ることが出来た.中でも興味深いのが,東工大の小島氏らの研究結果である.小島氏らは,解くことが難しい連続最適化問題に対し,半正定値計画問題という,解きやすい問題の理論を元にした新たな解法を提案していた.この解法自体を離散最適化の分野でまねることは難しいが,このアイディアを利用して新しい解法を構築できないかと検討中である.
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