初期値や非線形項がどのような条件をみたすときに非線形放物型方程式u_t=△u+|u|^<p-1>uの初期値問題および初期値境界値問題の解が有限時間で爆発するかについては既に多くの結果が得られている。今年度は解が有限時間で爆発する場合に爆発時刻での解の様子、例えば、爆発点(解がその近傍で非有界になるような点)や、爆発集合(爆発点全体から成る集合)についての研究を行った。 空間次元Nが1の場合には爆発集合は孤立点からなり、その個数は初期値が極値をとるような点の数をこえないことが知られている。しかし、N【greater than or equal】2の場合は、爆発集合のN-1次元のHausdorff measureが有限であることしか分かっていないと思われる。爆発集合の局所的な形状は解の爆発時刻でのプロファイルによって決定されると考えられるので、今年度の研究では元の方程式を爆発時刻からの逆向きの自己相似性を調べる方程式に変換し、その漸近挙動を用いて爆発集合の局所的な構造がある多項式によって記述されることを証明した。 また、昨年までの研究で初期値が十分に大きいときに解の爆発時刻は初期値が最大値や最小値をとるような点での初期値の2次以上の偏微分係数によって決まることを示したが、今年度はその結果を利用してこのような場合に解の爆発点の位置は初期値のどの性質に関わっているかを調べた。その結果、空間1次元のときは爆発点の位置は初期値の絶対値のピークにおける2次と3次の微分係数で決まること証明し、初期値がより高いregularityを持っていれば、4次以降の微分係数も影響を与えるような正確な評価を得た。
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