研究概要 |
非コンパクトな変分問題の一つの例として,2次元多様体上で定義された調和写像の問題がある. 調和写像の一般化の一つとして磁場がある場合のLandau-Lifshitz方程式というものが存在するが(磁場なしの場合が調和写像)それの解の存在,性質についての結果を得た.具体的には,磁場が小さい場合にはソリトン解に似たような解が存在すること,およびその解は有限次元のある変分問題の解と本質的に同値であるということを照明した. Landau-Lifshitz方程式を用いて調和写像の存在証明(Dirichlet問題の)も可能であり,実際新しいタイプの解の存在証明に成功した. 以上で述べた研究の手法を用いて,平均曲率一定の曲面の存在に関しても,新しいタイプの解の存在証明に成功した. この問題の研究過程で,扱う変分問題が偏微分方程式のシステムとして現われる場合,リー群の作用およびそのリー群のトポロジーが解の存在(特に解の多重性)に深く関係していることを見つけた. これはスカラーの変分問題では起こりえない現象で,システムの変分問題の一つの特性であるということができる. 以上の成果は専門誌上で今年度または来年度以降出版される予定である.
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