一般化されたスピン・ボゾン模型の無限次元解析学による研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11740109
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 廣川 真男 岡山大学, 理学部, 助教授 (70282788)
• キーワード: スピン・ボゾン模型 / 無限次元解析 / 基底状態 / 固有状態 / 基底エネルギー

研究概要

量子物理に現れる様々なモデルの(基底)固有状態に関する研究を主に行った.研究課題における最初のステップとして,基底状態の存在,非存在のための十分条件を明らかにする必要があったので,この問題にある程度の結果を与えた.また,この基底状態に附随する基底エネルギーを求めるための表現方法にも工夫をした.この段階までに,研究課題で最っとも難しい"赤外発散"の問題に取り組んだ訳であるが,赤外特異条件下で,いつ赤外発散を引き起こし,基底状態が通常の状態空間から姿を消し,いつ赤外発散をまぬがれ基底状態が通常の状態空間にとどまるかを基底エネルギーの言葉で特徴付けすることに成功した.研究課題の次のステップに移るために,固有状態の性質のいくつか,またモデルの物理的近似から来る数学的性質を少しづつ明らかにでき始めた.

研究成果

• [文献書誌] M. Hirokawa: "An inverse problem in quantum field theory and canonical functions"J. Math. Soc. Japan. 51. 337-369 (1999)
• [文献書誌] M. Hirokawa: "An expression of the ground state energy of the spin-boson model"J. Funct. Anal. 162. 178-218 (1999)
• [文献書誌] A. Arai (et al.): "On the absence of eigenvectors of Hamiltonians in a class of massless quantum field models without infrared cut-off"J. Funct. Anal. 168. 470-497 (1999)
• [文献書誌] A. Arai (with M.H.): "Ground States of 2 general class of quantum field hamiltonians"Rev. Math. Phys.. (to appear).
• [文献書誌] P. Exner (et al.): "Anomalous Pauli electron states for magnetic fields with tails"Lett. Math. Phys. (to appear).