平成12年度は以下の結果を得ることができた。1非線形エネルギー形式の場合、2線形エネルギー形式の場合、の2つにわけて報告する。 1非線形エネルギー形式の場合。 (1)(リッチ)曲率が下に有界な距離空間、特にAlexandrov空間から完備距離空間へのL^P-写像の空間上でのソボレフ空間に関する結果に関して次が得られた。targetとなる距離空間の曲率を非負としp=2とする。このとき調和写像を境界値問題として構成しその局所ヘルダー連続性を得た。Alexandrov空間のときに局所リプシッツ連続かはまだ不明。 (2)targetとなる距離空間の曲率が非負のときそこへのL^2-写像全体も曲率が非負の距離空間となる。それは線形空間ではないが凸性よりも強い構造をもっていることからヒルベルト空間でのバナッハアラオグルの定理やバナッハザックスの定理の類似が成立する。そのことを用いて、非線形エネルギーがモスコの意味での収束すれば対応する非線形レゾルヴェントがL^2-収束することが得られた。 2 線形エネルギー形式の場合 (1)非コンパクトな多様体やAlexandrov空間を点付きグロモフハウスドルフ収束させたときのスペクトルの収束について調べた。また付随して一般的な枠組での関数解析を展開した。より詳しく述べるとヒルベルト空間の収束の概念を導入し、その上の対称形式の収束の理論を加藤、サイモン、モスコの結果の拡張として得、それを上記の多様体のスペクトルの収束に適用した。その結果コンパクトの場合でしか知られていなかった既知のスペクトル構造の収束に関する結果を拡張した。 (2)非対称なディリクレ形式特に仮似正則局所半ディリクレ形式の枠組において局所劣解の意味での劣調和関数に関する弱最大値原理と強最大値原理を得た。この結果は非線形ディリクレ形式の調和写像を境界値問題として一意性を知る上で必要になる。
|