平成11年度のC^*-群環の構造解析と次元論に関する研究実績は次の通りである。 1.Dixmier群を一般化したり一群のC^*-群環の構造に関する論文のプレプリントの完成。この論文では、Dixmier群を一般化したり一半直積のC^*-群環の構造を詳細に解析し、その有限組成列を求めた。これの応用として、このC^*-群環の次元、安定階数(=複素次元)と連結安定階数を評価した。また、いくつかの場合に、このC^*-群環の射影元の非存在を証明した。 2.一般のC^*-環の実数群R、またはトーラスTの作用による接合積の安定階数の評価式を求めた。この結果は、数人の数学者の予想したものだが、これまで解けていなかった。これの応用として、C^*-環Aの連結可解リー群Gの作用による接合積の安定階数を、Aの安定階数とGの次元の和で評価した。とくに、GのC^*-群環の安定階数をGの次元で評価した。また、C^*-環の位相基本アーベル群による接合積の安定階数も同様に評価できた。 3.実数群R、または複素数Cのリー群によるリー半直積群のC^*-群環の構造を調べた。その結果、このC^*-群環の有限組成列を構成し、このC^*-群環の射影元の存在と非存在を群の言葉で完全に決定した。 4.局所コンパクト、ハウスドルフ空間X上の連続場のC^*-環に対して、それを商とする、X上の可換C^*-環とファイバーのテンソル積を直和因子とするX上の制限直和の部分C^*-環を構成した。これを用いて、連続場のC^*-環の安定階数、連結安定階数、実階数の評価式を得た。応用として、離散ハイゼンベルク群のC^*-群環のこれらの階数を評価することに成功した。この評価式の結果は、連続場の取り扱いの難しさのために、これまで解決されていなかった。また、連続場のC^*-環の上記の制限直和への別の埋め込みを考察し、具体的な連続場のC^*-環の同次的帰納極限への埋め込みを得た。
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