研究概要 |
平成11年度内に、大質量原始星の候補天体であるGH_2O 092.67+03.07(北の石炭袋)に対するミリ波干渉計データ(CS J=2-1;野辺山ミリ波干渉計による)の取得・解析を完了した。この解析では、付随する回転円盤(ディスク)とコンパクトな双極分子流を検出し、同天体が将来10太陽質量程度の大質量星に成長することが期待される極めて若い原始星であることを突き止めた。CS分子輝線は光学的に厚いため、ディクスの詳細な速度構造・密度構造を定量するには至らなかったが、それでも、このディスクの運動状態が単純なケプラー回転ではなく中心星への降着運動(インフォール)を伴うものであることを確かめるのには十分なデータであった。結果を論文にまとめ、ヨーロッパの学術雑誌に発表した(Bernard,Dobashi,Momose1999,Astron.Astrop.,vol.350,pp.197-203)。その後、この天体に対するC^<34>S(J=2-1)の干渉計データを新たに取得した。C^<34>S分子輝線は、以前取得したCS分子輝線よりも光学的に薄く、ディスクの力学運動状態に関する情報をより高い精度で求めることができる。平成11年度末現在、このデータの解析に取り組んでいる。CS分子輝線のデータと合わせて、ディスク・分子流間の角運動量輸送の可能性を検証(検討)できることが期待される。また、他の大質量原始星候補天体であるIRAS22134+5834に対する観測時間を、野辺山45m電波望遠鏡で確保した(共同利用による)。平成12年4月の観測予定であるが、GH_2O 092.67+03.07と同様の解析を行うつもりである。
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