形成途上にある銀河の研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11740123
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 太田 耕司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50221825)
• キーワード: 銀河形成 / 銀河進化 / クエーサー / 原始銀河

研究概要

星形成史或は力学的集積過程において形成途上と考えられる高赤方変移銀河でsるBR1202-0725における電離ガスと分子ガスの構造をケーススタデイとして詳しく調べた。酸素の一回電離ガスが出す輝線をプローブとして 近赤外域での狭帯域撮像をすばる望遠鏡で行い、銀河の中心核から12キロパーセクほど離れた場所に明らかな輝線天体を発見した。星形成天体だとすると、ダストによる吸収を補正すると年間1000太陽質量に匹敵する莫大な星形成率になる。その他にもこの銀河の周辺10-20キロパーセクに輝線天体候補が存在することもわかった。これらがマージして銀座として成長していくのかもしれない。また、この銀河を含むより広い領域での星形成銀河の探査も同時に行い、候補天体が3つ存在することもわかった。この領域は宇宙高密度領域である可能性がでてきた。また、CO(2-1)輝線による観測もVLAで行い、その結果銀河本体とそこから24キロパーセク程度離れた場所に分子ガスリッチな天体が存在することがわかった。(上記輝線天体は、この両者の中間に存在している。)そのスペクトルからふたつのCO輝線天体は重力レンズによって二つ目玉に見えているのではないことが明らかになったので、二つの系が物理的に接近して存在していることになる。
一方、このような活発な星形成を行っている遠方銀河を電波やX線によって探査することも行った。電波では、赤方変移4を超えるクエーサーを数個、VLAで観測を行った。データはまだ解析途中であるが、いくつかについては、活発な星形成を行っている可能性のある天体が見つかっている。また、X線の方では、昨年度までで完成させた。ASCAによる広域深宇宙探査によって得られたX線源の光学同定の結果を用いて、ダストに隠された天体を探査を行い、その性質を調べることを行った。

研究成果

• [文献書誌] I.Tanaka 他: "A Rich Cluster of Galaxies Near the Quasar B21335+28atz=1.1: Color Distribation and Star-formation Properties"Astrophsical Journal. 528. 123-138 (2000)
• [文献書誌] M.Akiyama 他: "Nature of Hard X-ray Sources from Optical Identifications of the ASCA Large Sky Survey"Astronomiche Nachrichter. 320. 255-256 (1999)
• [文献書誌] M.S.Yun 他: "Sensitive Radio Observations of High Redshift Dusty QSO_s"Astrophysical Journal. 528. 171-178 (2000)
• [文献書誌] M.Akiyama 他: "Optical Identification of the ASCA Large Sky Sarvey"Astrophysical Journal. 53(印刷中). (2000)
• [文献書誌] K.Nakanishi 他: "Near-Infrared Observations of a Type-2 QSO at Z=0.9"Astrophysical Journal. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] N.Tamura 他: "The Origin of Color Gradients in Elliptical Galaxies"Astronomical Journal. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] K.Ohta 他: "〔ou〕λ3727 Emission from the Companion to the Quasar BRR02-0725 at Z=4.7"Publ.Astron.Soc.Japan. (印刷中). (2000)