重力レンズを用いたダークマター探査は、宇宙物理学において近年目覚しい成果を挙げた分野の一つです。これは、大マゼラン雲の星からの光が、手前を横切るMACHOとよばれるダークマターの重力によって集められ、結果としてその星が急に明るくなる現象です。この時、「増光率」の公式が重要な役割を果たします。 この公式の妥当性を詳しく調べました。つまり、公式は重力定数の2次の量であるにもかかわらず、従来の導出では、重力定数の1次しか含まない「重力レンズ方程式」を出発点においていました。そこで、重力定数の2次まで含んだ「重力レンズ方程式」を導き、それを用いて、「増光率」の公式を正確に導出しました。その結果、各像の増光率は従来の結果に補正が必要である事を明らかにしました。しかし、MACHOの場合、現在の観測精度では多重像が分離出来ず、全体の増光率が観測量となっています。この全増光率の公式は、従来のもので良い事が分かりました。つまり、MACHO研究に用いられる公式の正当性を初めて証明しました。 以上のように、本研究の成果は、高精度観測が可能となる将来、きっと活かされるでしょう。
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