本年度は、中性K中間子検出器系の構築およびモンテカルロシミュレーションを用いたエネルギー分解能と検出効率の評価を行なった。 中性K中間子検出器系の要となるワイヤーチェンバー系に関しては、宇宙線を用いた、位置分解能および検出効率の評価を行なった。その結果、300μmの位置分解能と95%以上の検出効率を達成し、実用に耐える性能を確認した。 モンテカルロシミュレーションでは、現実的な検出器と物質の配置を採り入れ、また実際の生データと同じ形式のデータを出力させ、実際に用いる解析コードで解析することにより、信頼度の高い評価を行なうことを可能にした。シミュレーションから、実験目的に十分な、KO中間子に対する11MeV/cの運動量分解能と、重心系における1.8度の角度分解能を得た。また、シミュレーションから得られたスペクトロメータの有効立体角と解析上の効率等から、実際に予定されている実験期間内に十分な統計をもったデータが得られることが確認できた。 以上の研究成果を基に、来年度前半に、完成した測定装置を用いて、標的に対する中間子準自由生成の実験を行ない、近似による計算や中間子準自由生成データとの比較をもとに中間子生成素過程についての情報を引き出す。
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