本テーマは、数十から数百もの銀河が狭い領域に集まった銀河団の中心部における物理的描像の研究であり、銀河団を満たすX線高温ガスを最新鋭の装置で観測することにより進める。本年度は、「あすか」で得られた銀河団中心部の描像をさらに確立するために「あすか」で観測された銀河団でデータが公開されているものをすべて解析し、銀河団の中心の温度・アバンダンス・重力ポテンシャルの一般的な様子を調べた。その結果、銀河団中心での低温成分の存在と重元素アバンダンスの増加は、かなり一般的であることがわかってきた。低温成分の量は、単純な放射冷却から予想される量よりもはるかに小さく、磁場とかに関連した何らかの加熱機構の存在を示唆する。さらに、多くの低温銀河団で中心部でのX線輝度分布が「こぶ」状になっていることがわかり、多くの低温銀河団で重力ポテンシャルの2重構造を反映している可能性を示唆する。一方、一部の銀河団では低温成分・重元素増加・「こぶ」状のX線輝度分布がほとんど観測されないこともわかった。こうした銀河団の特徴は中心部で大きな銀河が複数存在することであり、上の3つの性質を示す銀河団が1つの大きな中心銀河しか持たないことと対称的であり、銀河と銀河団ガスとの相互作用を示唆する。現在は、こうして得られた結果をまとめている最中であり、一部は本年度に論文としてまとめている。 来年度は、空間分解能の良いChandra(AXAF)衛星による観測データが手に入るので、「あすか」で得られた銀河団中心の描像をさらに解明できるものと思われる。
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