1.ガンマ線強度の大きい活動銀河核3C279を紫外線領域、X線領域およびガンマ線領域で観測し、X線強度とガンマ線強度が紫外線強度と相関していることが分かった。この結果は、紫外線の放射過程はシンクロトロン放射、X線とガンマ線は、シンクロトロン放射している電子による逆コンプトン過程で放射されているとするモデルとよく一致しており、活動銀河核の放射、特に中心核から高速で吹き出しているジェット流の放射機構に対して強い制限を与えた。以上の結果は、Pian他との共著論文(1999)で発表した。 2.ガンマ線強度が大きく、変動の激しい活動銀河核の多波長観測の結果から、その放射機構について考察し、0.1-1ガウスの磁場中に存在する高エネルギー電子からの放射であることを解明した。また、ガンマ線の放射過程は、逆コンプトン散乱だと考えられているが、電子と衝突する光子の起源は謎であった。多波長観測の結果から、ガンマ線放射がTeV領域まで伸びている活動銀河核の場合はシンクロトロン光子、TeV領域まで伸びていない活動銀河核の場合は、シンクロトロン光子に加えて、ジェット流外部からの光子も、ガンマ線放射に寄与していることが分かった。以上の結果は、Takahashi他との共著論文(1999)で発表した。 3.赤方偏移が2以上の遠方で、電波強度の弱い活動銀河核を5天体、X線領域で観測し、エネルギースペクトルの傾きが、電波強度の弱く近傍の活動銀河核の傾きよりも小さく、遠方の電波強度の強い活動銀河核と同じであることが分かり、活動銀河核の形成を解明する上で貴重な結果となった。この結果は、Vignali他との共著論文(1999)で発表した。
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