TeVガンマ線を出しているブレーザー天体Mrk421の多波長同時観測を1998年4月に行った。同時観測初期に、BeppoSAXおよびWhipple望遠鏡によりフレアが観測され、その3日後にASCA衛星の観測が始まった。約1日のタイムスケールのX線フレアが次々に観測され、TeVガンマ線の変動と相関していることが分かった。また、X線変動のライトカーブのラグを計算したところ、ソフトおよびハードの両方が見つかった。もし、天体の放射機構に依るものならば、加速と冷却のタイムスケールが同じであることを見つけた(高橋共著) TeVガンマ線を出しているもう一つのブレーザー天体PKS2155-304を1994年にASCAで2日間観測し、フレアが観測された。フレア中は、硬X線の変動が軟X線に先行する「時計回りループ」現象が見られた。様々なエネルギーバンドの時間変動を調べ、磁場の大きさが0.1Gであることを見つけた。さらに、エネルギーが高くなるほど、フレアの振幅が大きくなること、フレアの継続時間は、エネルギーに依存しないことを見つけた。また、時間発展SSCモデルを用いて、スペクトルをフィットし、磁場が0.1ないし0.2G、放射領域の大きさが0.01pc、ビーミング因子20ないし30のモデルで記述できることを示した(片岡共著)。 BL Lac天体BL Lacertaeが1997年にアウトバーストを起こしたときに、EGRETおよびRXTEと同時にASCAでX線観測した。観測されたX線強度は歴史的に高く、軟X線領域で見られた、2つの変動ピークが、硬X線領域には見られなかった。これは、シンクロトロン放射の高エネルギー端と逆コンプトン散乱による放射の両方が見えており、軟X線領域の短い変動のタイムスケールが、放射領域の大きさを反映していることを見つけた(谷畑共著)。 遠方のクエーサーRXJ1028.6-0844(z=4.3)をASCAでX線観測し、他のクエーサーに比べてX線吸収量が多いこと、さらに、X線で極めて明るく、強度が2×10^<47>ergs/sであることを見つけた(Yuan共著)。
|