1.ホログラフィー的くりこみ群の高次元化:AdS/CFT対応により、漸近的に反ド・ジッター(AdS)の時空を持つ(d+1)次元古典重力は、その境界においてd次元の場の量子論を記述する。我々は、こうした系を解析する上で有用なHamilton-Jacobi方程式について、それを系統的に解析する方法を開発し、さらに任意の次元でワイル・アノマリーを計算する処方箋を与えた。(酒井氏(京大基研)・松浦氏(京大基研)との共同研究) 2.ホログラフィー的ワイル・アノマリーの任意性:AdS/CFT対応を用いてワイル・アノマリーを計算すると、local counter termのとり方によって結果が変わりうる事が知られていた。我々は、その任意性がワイル・アノマリーにおいて常に全微分項としてしか現れず、物理的な影響を与えない事を証明した。我々はさらに、その任意性を考慮せずにすむ計算法を開発した。(酒井氏(京大基研)・松浦氏(京大基研)との共同研究) 3.AdS/CFT対応における高階微分の影響:ホログラフィー的くりこみ群はこれまで弦理論の立場からは、弦の最低次(ゼロモード)の有効作用を用いて議論されていた。我々は、弦の高次補正が入った場合について考察し、高次補正の影響が境界上ではhighly irrelevantな演算子の摂動を加える事に対応する事を示した。また、その演算子の影響について積分する処方箋を開発し、高階微分が入った場合でもホログラフィー的くりこみ群の構造が存在する事を示した。(酒井氏(京大基研)・松浦氏(京大基研)との共同研究)
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