研究概要 |
レーザー干渉計重力波検出装置の建設が日本を始めとして,世界各地で進んでいる.それらの検出器の最も有力な重力波源は合体する連星からの重力波である.これに関係する研究を行った. まず重力波の波形を理論的により正確に求めるための研究を行った.ポストニュートニアン近似により,自転角運動量(スピン)をもつ連星の運動方程式を,これまで求められていない2.5次のポストニュートニアン近似のオーダーまで求めた.星をデルタ関数で表すモデルを導入して、アインシュタイン方程式を解く方法を用いた.その際に自己重力発散の正則化の方法として,Hadamardの正則化を導入した. また,重力波の理論波形を,レーザー干渉計からのデータを用いたデータ解析に用いるための研究を行った.連星からの重力波を特徴づけるパラメータとして,パラメータ空間を探査する際に非常に有用なものを発見した.また,そのパラメータ空間を探査する際の計算コストを減少させる方法として,2段階探査の方法,理論波形生成の計算コスト減少法などを開発した.それらの方法を用いて、実際のコンピュータプログラムを作成した.更に,レーザー干渉計TAMA300の実際のデータ解析に応用した.
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