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1999 年度 実績報告書

クリスタルビームの安定化に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11740153
研究機関広島大学

研究代表者

岡本 宏巳  広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40211809)

キーワードレーザー冷却 / ビーム蓄積リング / クリスタルビーム / 結合高周波空胴 / テーパー冷却
研究概要

蓄積リングには(ビームの軌道を閉じたものにする必要上)双極磁石が点在しており、そのため個々の粒子の運動は不可避的に分散性となる。この運動量分散の存在がビームのレーザー冷却過程に及ぼす影響について、分子動力学法に基づいた数値シミュレーションを行った。その結果、以下のような知見が得られた:
1.クリスタルビームの安定化には"テーパー化された"散逸力が必要不可欠である。単色光による通常のレーザー冷却法によって得られた結晶構造は、冷却力を取り除くと速やかに破壊されてしまう。
2.テーパー散逸力はクリスタルビームの安定化にとってだけでなく、一般的な高温ビームの三次元冷却に際してもきわめて有効である。
また、実際にテーパー散逸力を用意するための具体的方法についても検討した。当初はパルスレーザー光を回折格子により分光してテーパー化するスキームを考えていたが、結局(a).数メートル程度の冷却セクションを通過している間、所定のテーパー率を維持することが困難であること、(b).達成可能な冷却限界温度が一桁程度上がってしまうこと、等の欠点が明らかとなった。そこで、これに代わる新しい冷却スキームとして、"多重レーザー冷却法"を考案した。この方法では、波長の異なる複数のレーザーを空間的に少しずつずらして配置し、一組をビームの進行方向に、もう一組を逆方向から照射して冷却を行う。モンテカルロ計算の結果によれば、ドップラー限界温度は単色光でレーザー冷却を行った場合のそれと同程度になることがわかった。また、分子動力学シミュレーションにより、このスキームを用いて実際にビームの結晶化およびその安定化が可能であることも確認された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Kihara,et al: "Three-Dimensional Laser Cooling Method based on Resonant Linear Coupling"Phys.Rev.. E,vol.59 No.3. 3594-3604 (1999)

  • [文献書誌] 岡本 宏巳: "クリスタルビーム:究極のイオンビーム実現に向けて"パリティ 丸善. 11月号. 56-60 (1999)

  • [文献書誌] A.Noda: "Accelerator Complex of Ion and Electron Storage Rings"Nuc1.Instrum.Meth.. A441. 154-158 (2000)

  • [文献書誌] 岡本 宏巳: "高速イオンビームの結晶化"物理学最前線、共立出版. (印刷中). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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