B→Dlv崩壊のzero recoil limitにおける形状因子の値を格子QCDシミュレーションを用いて正確に求めることが、本研究計画の目標である。我々の方法では、まず格子QCDのシミュレーションで様々な質量のBおよびD中間子を作り、それらの間の遷移振幅を計算する。さらにさまざまな組み合わせの遷移振幅の間の比を考えることで、zero recoil limitでの形状因子を非常に精密に求めることができる。 今年度は、まず小さな格子での予備的計算を終えて、我々の方法が実際にうまく働くことを確かめた。比を考えることで、統計誤差および系統誤差のうちで大きなものは互いに打ち消しあって最終的な結果は非常に精密なものになる。 また、B→Dlv崩壊だけでなく、B→D^*lv崩壊の形状因子を精密に求める方法を開発した。これも、B→Dlvと同じく、様々な遷移振幅の間の比を考えることで実現できる。 今年度は、以下のような研究発表を行なった。 ・B→Dlv崩壊の形状因子の格子QCDによる計算を論文にまとめて発表した。 ・B→D^*lv崩壊の形状因子の計算を始めて、経過報告を国際会議Lattice'99で発表した。 ・B中間子の崩壊に関する格子QCDによる計算について、まとめの報告を国際会議Lattice'99およびHeavy Flavours8で行なった。
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