多目的なマイクロ波測定を可能にするために、スカラ型のマイクロ波システムを試作した。また、重い電子系CeRu_2Si_2のメタ磁性転移に起因するマイクロ波応答、及び、Sr_2RuO_4の超音波の音速、吸収を研究した。 試作したマイクロ波システムは、希釈冷凍機やハイブリッド磁石等により実験ができる。空胴摂動法により、表面インピーダンスを初め、高周波伝導度、複素誘電率、複素帯磁率の測定が行える。高いQ値を持つ円筒形空胴共振器が試作でき、周波数分解能、ダイナミックレンジが充分にとっている。共鳴周波数と全半値幅が高感度で自動測定できるようになった。 空胴摂動法に基づき、円筒形空胴共振器の振動電場が最大になる位置にCeRu_2Si_2単結晶試料を配置し、透過振幅の磁場依存性を測定した。強相関電子系における異常な誘電応答をメタ磁性転移付近に観測した。スピン波による磁気的応答は、試料を磁場最大に配置したとき検出された。空胴共振器中の試料配置により、誘電的な応答と磁気的なものを実験的に区別することに成功した。 希釈冷凍機に自家製の同軸管を導入して、極低温まで超音波測定が行えるようにした。Sr_2RuO_4のT_c〜1.5K以下の音速、吸収の異常は、超音波モードに依存して、大きさが異なる。これは、オーダーパラメターと歪みの結合起因している。
|