研究概要 |
物性研に建設を進めてきた超高分解能角度分解光電子分光装置の高分解能化と試料到達最低温度の低温化を行った。この装置を用い、これまでの分解能・到達温度では測定の難しかった、単体超伝導体及びYNi_2B_2Cの超伝導ギャップの観測に成功した。 1.装置の調整および低温化 (1)建設してきた装置の調整を行い、エネルギー分解能1.4meVを達成した。これは現時点で世界最高である。 (2) 試料周辺の熱遮蔽版を改良する事により、試料部分での到達最低温度5.3Kを達成した。 2.超高分解能光電子分光測定 (1) 単体超伝導体Pb(Tc=7.19K)、Nb(Tc=9.26K)の光電子分光測定を行い、超伝導ギャップ観測に成功した。また、Pbのスペクトルにおいて、電子-フォノン強結合を反映した微細構造を見いだした。光電子分光で、単体超伝導体の超伝導ギャップ、微細構造を見いだしたのは世界初である。 (2)Y(Ni_<1-x>Pt_x)_2B_2C(x=0.0:Tc15.4K,x=0.2:Tc=12.1K)の光電子分光測定を行い、その超伝導ギャップの観測に成功した。また、YNi_2B_2C超伝導ギャップが大きな異方性を持つこと、不純物(Pt)を付加する事により、ギャップの異方性が小さくなることを見いだした。
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