電子ビームと自由電子レーザーのコンプトン散乱によって得られるガンマー線ビームのエネルギーをコントロールするもっとも有効な方法は、散乱される電子ビームのエネルギーを自由に変化できるようにすることである。しかしながら、電子ビームの寿命は電子ビームのエネルギーに依存(約4.5乗に比例)するため、実際にガンマー線ビームを用いた実験を行う時間を考えると、低エネルギー運転によりガンマー線のエネルギーを下げることは困難になる。そこで本研究では3次の高調波キャビティを用いて電子ビームのバンチ長を長くすることでビーム寿命を長くすることを試みた。3次の高調波キャビティと主キャビティとの間の位相差を制御することで、電子ビームの感じる有効電場勾配を通常の1/10以下にして、電子ビームのバンチ長は通常の約4倍の長さにすることに成功し、そのことによって電子ビームに寿命をのばすこことができた。 ガンマー線ビームの強度を大きくするたには自由電子レーザーのパワーが大きくすることが必要不可欠である。そこで、本研究ではレーザーが最大パワーを出す時の飽和メカニズムに関する基礎的な研究を行った。電子バンチの位相の検出によりエネルギー広がりを測定する新しい方法を確立することで、自由電子レーザーのパワーと電子ビームの間の非線形な関係を導出した。この結果はアメリカで行われた国際会議で発表された。
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