研究概要 |
今年度は、月裏側の海盆領域の月面写真や地形図を収集し、月面画像データの整備を実施した。さらに、画像データ解析装置を導入し、画像解析システムの基盤を整えた。また、月面分光画像解析のために開発した、放射量補正・幾何補正・画像合成を主に行う既存の画像補正・合成ツールを導入し、自動化システムを開発した。このシステムのテストとして月面裏側のモスクワの海を解析し、過去に1層の溶岩流と考えられていたモスクワの海も、最低4層の溶岩流に区分されることが発見され、月裏側においても、表側と同様に溶岩流出がマルチイベントであったことが確認できた[1,2]。来年度は、このシステムを、さらに、他の海の地域に適用して、月裏側の溶岩流マップ作成に拡張する。 また、衝突クレータリング用に開発・作成してきたSPHシミュレーションコードに、岩石強度を弾塑性体として導入し、大変形を実現した。このコードのテストとして、地球上のK/Tインパクトに応用し、インパクトクレーター形成に伴う地殻運動の再現、岩石放出による成層圏ダスト量の算定を実施した[3,4]。このコードの整備により、来年度は、月面の大型クレーター形成に応用する。 [1]月面画像解析によるMare Moscovienceの地質構造調査、堀忍、高田淑子、日本惑星科学会秋期講演会、仙台、11/1999.[2]クレメンタイン月面分光画像解析によるモスクワの海地域の溶岩流解析、堀忍、高田淑子、地球惑星科学関連合同学会、東京、6/2000.[3]隕石の地球への衝突によるダスト放出の数値シミュレーション、木村貴之、高田淑子、地球惑星科学関連合同学会、東京、6/2000.[4]Numerical simulations of Chicxulub impact cratering,T.Takata,Catastrophic events & mass extinctions: Impacts & beyond,Vienna,7/2000.
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