研究概要 |
今年度は,(1)試料採取対象の検討と決定,(2)地質調査と試料採取,(3)熱消磁装置の改良,を実施した. (1)試料採取対象の検討と決定 露出がよく,層序的に連続して試料を採取可能なアア溶岩流をリストアップし検討した.その結果,青森県深浦町の海岸(千畳敷)に露出する中新世の溶岩流を研究対象とすることに決定した. (2)地質調査と試料採取 溶岩流とその周辺の地質を調査し,層序を確立した.対象とするアア溶岩流(安山岩)は下部中新統大戸瀬層(約19Ma)のもので,厚さが約16m,上下に赤色酸化したクリンカーを伴う.赤色酸化したクリンカーを伴うことと,溶岩流の基盤をなす凝灰岩類が溶岩流から伝導した熱により同様に赤色酸化していることから,この溶岩流は乾陸上において流動・冷却・固化したものと考えられる.残留磁化測定用の試料は,層位的に約10-15cm間隔で,コアードリルを用いて採取した.採取したコア試料は,大学の実験室で整形した. (3)熱消磁装置の改良 愛知教育大学に設置してあるSchonstedt社製の熱消磁装置の電気炉部分を,より効率的に試料を加熱処理できるように解消した.これにより,試料内部での熱均質性が向上し,時間効率も良くなったと期待される. 次年度は,採取した試料の残留磁化を測定し,溶岩流内部における磁化特性の変化を検討する.さらに他の2-3枚の溶岩流についても検討する予定である.愛知教育大学に設置してあるSchonstedt社製交流消磁装置の改良も進める.
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