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1999 年度 実績報告書

力学モデルを用いた咀嚼系の機能復原に基づく〓脚類の食性の多様化過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11740286
研究機関国立科学博物館

研究代表者

甲能 直樹  国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (20250136)

キーワード咀嚼 / 機能形態 / 食性 / 行動 / 食肉目
研究概要

本年度の研究では,カリフォルニアの上部漸新統から知られる最初期の鰭脚類エナリアルクトスについて,レーザー3次元曲面形状計測装置BOXELAN(既存)を用いて3次元画像を取り込み,咀嚼筋群の起始点と終始点とに対応する部位とその範囲を比定して,とくに咬筋と側頭筋の運動復原を行なった.また,フランス国立自然史博物館に赴いて,フランスの上部漸新統から知られる半水生の中型食肉類ポタモテリウム(鰭脚類の姉妹群)の頭蓋の比較形態学的な観察を行い,前述と同様咀嚼筋群の運動復元を試みた.その結果,半水生のポタモテリウムでは,咬筋と側頭筋の作用方向と下顎骨の長軸とのテコ比に基づいた運動効果の推定から,咬筋よりも側頭筋によってパワー重視の咀嚼運動を生み出し,咀嚼のスピードはさほど重要ではなかったことが明らかとなった.一方,海生のエナリアルクトスでは,ポタモテリウムとは逆に側頭筋ばかりでなく咬筋までも咀嚼のスピードを重視した構造に変化しており,歯の同形歯化がほとんど進んでいないにも関わらず,その咀嚼様式は現生鰭脚類とかなり類似したものになっていたことが明らかとなった.また,エンドカストを用いた中枢神経系の研究から,ポタモテリウムにはカワウソと同等の嗅覚を保持し,エナリアルクトスでは退化縮小していることからも,ともに魚食性を示す両種に見られる咀嚼様式の相違は,前者が採食にあたって咀嚼を行なった(水面上で咀嚼してから嚥下した)のに対して,後者は咀嚼を行なわなかった(水中で餌となった魚を噛み切って丸のみした)ことの反映であると考えられる.

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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