1 外熱式ダイアモンドアンビルセルを用いてH2Oに飽和した条件でのCa(OH)2の融解温度を決定した。また、空気中でCO2と反応させた試料を用いてCa(OH)2-CaCO3-H2Oの系で融解温度を決定した。両実験ともこれまで高温高圧力条件より急冷させた実験生成物を観察し組織を解釈することにより推定されていたが、本実験で初めてその場観察を行った。手法は異なっていたが、結果は1万気圧までの圧力範囲で従来の研究と調和的であった。また、Ca(OH)2結晶は近赤外領域に複雑なピークを持つが、メルトは顕著なピークを持たないことがわかった。 2 エンスタタイトとディオプサイドの無水のガラスを常圧炉で作成し、水とともにDACに封入し観察した。その結果、両者は300℃以上で結晶化してしまい1000℃以下ではその結晶を溶かすことができず、過冷却状態のメルトを手にすることはできないことが判明した。ディオプサイトは3.8wt.%の水を含むガラスをピストンシリンダー型高圧発生装置を用いてIGPaで作成し、DACに封入し観察したが、無水ガラスを用いたのと同様な結果となった。エンスタタイトは1.9wt.%以上の水を含むガラスは、ピストンシリンダー型高圧発生装置では急冷の際に結晶化してしまい、含水ガラスを作成することさえできなかった。3.8wt.%の水を含むディオプサイトガラスの常温常圧での近赤外領域でのスペクトルは波数4450と5520と7100とにピークを持ち、それぞれ、OH-、分子水、および両者の合計と考えられている。同様のスペクトルは常温常圧条件下でのH4SiO4けい酸で得られることが判明した。
|