ダイヤモンドアンビルと平成11年度製作の顕微ラマン分光器を用いて、高圧下でのブルーサイト(Mg(OH)2)のラマンスペクトルを測定するとともに、赤外吸収スペクトルも同時に測定した。顕微ラマン分光器は、ラマン散乱光励起用レーザー(アルゴン488nm)、ラマン散乱光集光管(製作)及び長作動対物レンズ、分光器、光検出器フォトンカウンター、L型管及び制御用パソコンからなる。ダイヤモンドアンビル中の試料は、集光のためには対物レンズ下で作業距離を必要とするので集光用には長作動レンズを用いる。励起用レーザの集光状態の確認は、レーザ光の直接観察または、ルビー薄片にレーザをあてルビー蛍光を観察することにより確認する。ダイヤモンドアンビルは3点クランプ式のコンパクトなタイプのものを用いる。圧媒体はフロリナート、圧力測定はルビー蛍光法を用いた。 3650cm-1付近にOH対称伸縮振動モードに対応するラマンスペクトルを観察した。加圧にしたがってこのラマンピークは低波数側に移動した。赤外吸収スペクトル測定においては3700cm-1付近にOH非対称伸縮振動モードに対応するピークを観察した。4GPaを越えるような圧力範囲で圧力誘起による第2の赤外吸収ピークを観察した。しかし、ラマンスペクトル測定においては、同様の圧力範囲においては、圧力誘起による第2のラマンスペクトルは観察されなかった。赤外吸収スペクトルに観察されるブルーサイトの圧力誘起吸収ピークに対応したOHの振動モードはラマン不活性と考えられる。
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