本研究において、時間分解過渡吸収検出磁気共鳴装置を次の様に改良した。 1、マイクロ波回路におけるマイクロ波回路を高速化させるために、マイクロ波スイッチイング速度を高速なものに改良した。 2、過渡吸収の検出性能を向上させるために、新たにキセノンランプを購入し組み込んだ。 3、測定システムのコンピュータプログラム等を改良し、より安定したデータ積算を可能にした。 このような装置を用いて、次の様な事を明らかにした。 ミセル溶液中に束縛されたラジカル対のスピン運動を、マイクロ波によりコヒーレントに制御できることを明らかにし、さらにその緩和現象から、ラジカルの拡散運動との関連について明らかにした。特に通常のラジカルにおいては見られない、ラジカル対特有の量子ビート運動の存在を明らかにし、その運動がラジカル対の再結合反応性に現れることを、実験的に始めて明らかにした。さらに、その緩和現象から従来議論されていなかったラジカルスピン間の相互作用の揺らぎに基づくスピン緩和の存在が明らかとなった。 今後条件等の検討により、このスピン緩和とラジカルの動的挙動との関連が明らかになっていくものと思われる。
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