研究概要 |
不飽和炭化水素間での炭素-炭素結合生成反応において、遷移金属触媒が高い活性を示すことが知られている。最近私は、このタイプの新反応を発見した。すなわち、共役エンインはパラジウム触媒の存在下で二重化反応を起こし、このような1,4-二置換ベンゼンを高選択的、なおかつ高収率で与えることを見いだした。この反応における置換基効果について種々検討している過程において、私はさらに画期的な新反応を見いだした。すなわち、2-パーフルオロヘキシル-1-ブテン-3-インはニッケル触媒の存在下、二重化反応を起こし、図に示すような2環性化合物を与える。この反応は過去に全く類例のない、新規反応であり、また得られる生成物の構造も非常に興味深い。私は以上の結果に基づき、「共役エンインをはじめとする不飽和炭化水素を用いる新規環化付加反応について検討すること」を研究目標として設定した。具体的には、本反応の一般性について明らかにした。 その結果、 1.本反応は2位にパーフルオロアルキル基やシアノ基を導入したエンインにおいて進行すること。 2.多くの多置換エンインでは反応が進行しないこと。 3.電子吸引基の導入位置を変えた場合には種々のベンゼン環形成反応が進行すること。 を明らかにした。
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