デンドリマーは単一の分子量を有する新しいタイプの巨大分子であり、その分子構造や機能性に興味を集めている。今回デンドリマー末端にフェニル基を有する第一世代デンドリマーおよびペルメチル置換第一世代デンドリマーのX線結晶構造解析に成功した。また、デンドリマー表面にヒドロキシル基の導入を検討し、官能性デンドリマーの合成にも成功した。 第一世代ペルメチル置換およびフェニル置換デンドリマーの分子構造では、Si-Si結合長は末端よりも中心の方が長く、Si-Si-Si結合角はスペーサーであるSiMe_2周りで大きくなっている(av.114.6。)。ケイ素鎖の立体配座にゴーシュ型は見られず、アンチ型およびオルソゴナル型で構成されている。特に、後者のデンドリマー表面付近ではエクリプス型が見られ興味深い。さらに、末端のフェニル基は中心メチル基を覆うような構造をしていおり、中心メチル基のNMRシグナルがフェニル基によって遮蔽され高磁場シフトして観測される。 一方、デンドリマーの表面修飾では、ヒドロキシル基の保護基であるベンジル基を有するベンジルオキシヘキシル基を全てのデンドリマー末端に導入することに成功し、保護された官能性デンドリマーを無色油状物として収率33%で合成した。得られたデンドリマーに、パラジウム-炭素を触媒とする接触水素化を行ったところ、表面にヒドロキシル基を有する第一世代デンドリマーを無色油状物として収率40%で単離することができた。得られた官能性デンドリマーは、表面にヒドロキシル基が6個存在するため、非極性溶媒には全く溶けないが極性溶媒に対しては極めて高い溶解性を示すなどの特異な性質を有する。
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