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1999 年度 実績報告書

ジアリールエテンをスイッチングユニットとして用いた光応答性磁性体の構築

研究課題

研究課題/領域番号 11740358
研究機関九州大学

研究代表者

松田 建児  九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80262145)

キーワード光スイッチング / フォトクロミズム / 分子磁性
研究概要

ニトロニルニトロキシドを2個,ジベンゾチエニルエテンに配したジラジカル1aを合成した。酢酸エチル溶液中で開環体1aは紫外光により閉環体1bに,1bは可視光により1aにそれぞれ変換率100%で可逆に相互変換された。可視域に吸収を持つニトロニルニトロキシドが存在してもジアリールエテンの閉,開環反応は進行することが分かった。閉環反応,開環反応の量子収率はラジカル置換基の無い場合と比べてそれぞれ1/8,1/280に減少した。閉環体1bではキノイド構造との共鳴安定化があるために開環反応の量子収率が小さくなったと考えられる。
1aは濃青色結晶,1bは黒色結晶として得られた。両異性体の構造と磁性をX線結晶構造解析,磁化率測定,ESR測定によりキャラクタリゼーションした。室温,ベンゼン溶液中のESRスペクトルは両異性体とも9本線であった。開環体1aではベンゾチエニル環とシクロペンテン環が86.1°と直交しており,分子内磁気的相互作用は2J/K_B=-2.2Kとほとんどなかったのに対して閉環体1bでは分子は平面であり,分子内磁気的相互作用は2J/K_B=-11.6Kと大きくなった。高分子フィルム中での磁気測定では閉環体の分子内磁気的相互作用は2J/K_B=-12.5Kとなり,相互作用の増加が分子内由来であることが確認できた。開環体1aでは,ねじれ構造,芳香族性,disjoint型のトポロジーを持つことから相互作用がOFF状態を取る条件を満たしているのに対して.閉環体1bでは,平面構造、非芳香族性,non-disjoint型のトポロジーを持つことから相互作用がON状態を取る条件を満たしている。磁気的相互作用の変化はこれらの変化を反映したものであると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kenji Matsuda: "Photoswitching of Intramolecular Magnetic Interaction : A Diarylethene Photochromic Spin Coupler"Chem.Lett.. (1). 16-17 (2000)

  • [文献書誌] Tetsuhiro Kodani: "Diastereoselection in Crystalline State Photochromism of a Diarylethene Having a Chiral Substituent"Chem.Lett.. (9). 1003-1004 (1999)

  • [文献書誌] Ikuo Naito: "Formation of Nitrile Ylide by Addition of Carbene with Acetonitrile in a Low-Temperature Argon Matrix"J.Phys.Chem.A. 103. 8187-8192 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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