研究概要 |
秩序化ペロブスカイトA_2RIrO_6(A=Sr,Ba ; R=rare earths)の合成と磁気的性質について調べた。これらの化合物中で、希土類元素は3価、イリジウムは5価をとるが、Sr_2RIrO_6に関してはR=Ce,Tbの場合に、RおよびIrともに4価をとり、Ba_2RIrO_6に関してはR=Ce,Prの場合に、RおよびIrともに4価をとることを粉末X線回折、ESR測定、メスバウア分光測定から見出した。このとき、Sr_2TbIrO_6中でTbは4価、Irは4価をとるが、Ba_2TbIrO_6中でTbは3価、Irは5価をとる理由について、結晶化学的な立場から考察した。また、A_2RIrO_6に関して、磁化率測定、比熱測定を行ったところ、Rは3価、Irは5価をとる化合物は室温から2Kまでの温度範囲で常磁性であるのに対し、Sr_2CeIrO_6およびSr_2TbIrO_6は、それぞれ、20Kおよび52Kで、Ba_2CeIrO_6およびBa_2PrIrO_6は、それぞれ、18Kおよび70Kで反強磁性転移することを見出した。これらの転移温度の相違は超交換相互作用の経路中に含まれる磁性イオンのf電子数の違いによる。さらに、Sr_2CeIrO_6,Sr_2TbIrO_6およびBa_2PrIrO_6の中性子回折測定を行い、これらの化合物の結晶構造ならびに磁気構造を決定した。これらの化合物の磁気構造はいずれもtypeI型反強磁性構造をとっており、イリジウムをルテニウムで置換したルテニウム秩序化ペロブスカイト酸化物と同様の磁気構造を持つことが分かった。
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